皆さんこんにちは。6月4日は虫歯予防デーでしたがすっかり投稿を忘れてしまっておりました。
今回は歯科保険診療についてほんの一部ですが解説していきます。
皆さんご存知かもしれませんが、保険診療では健康保険料を納めることで国や公共団体などが被保険者の健康のために治療に必要な費用の大部分もしくは全額を負担してくれています。
国民に安心・安全な医療の提供を保証するため、また医療機関の診療報酬の不正受給防止のため、保険診療では検査内容や治療の手順、治療内容、使われる器具や材料に明確なルールがあります。
従って全ての患者さんに概ね画一的な治療が行われており、必ずしも希望通りに治療できないのが現状です。
裏を返せばどんな治療をしても決まった報酬ですから、短時間でかつ診療点数の高い処置が病院経営の上では好まれます。
ここで抜歯と虫歯治療について。皆さん抜歯と小さい虫歯治療はどちらが報酬が高いかご存知ですか?
一般的に奥歯の抜歯より、前歯の歯と歯の間の小さな虫歯をプラスチックで詰める治療の方が保険点数は高くなります。
抜歯を勧める歯医者さんは良くない、歯を削らず残してくれる歯医者さんは良い、と考えがちですが、治療法や器材が進歩した現代では歯医者さんとしては歯を出来るだけ抜歯せず何度も詰め替えていく方が利益になるのです。
さらに同じ詰める治療でも、歯を削れば削るほど時間がかかる上に使用する材料が増える為、極端に言えば同一報酬なら虫歯を取りきれなくても、削らず詰めてしまう方が利益になるのです。
もちろんわざと虫歯を残すなんてことはしないでしょうし、症例によって虫歯を削らず直す方法が出来るのかもしれませんが、意味もなく歯を削る、抜歯することは患者さんにとっても、先生にとっても実はメリットがありません。
大切なのはなぜ抜歯した方が良いのか、なぜ治療して残した方がいいのかを先生がしっかり説明した上で、患者さんも納得して治療法を選択することです。
諸外国の多くは歯科治療に保険が効かないため、治療せずまとめて抜歯して入れ歯を作るなんて茶飯事ですが、日本は健康保険の利用で負担が少なくなる上に患者さんも治療法を選択できるので、大変ありがたいことです。
まだまだ蒸し暑い日が続きますが皆様の益々のご健康をお祈りいたします。